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球面レンズの問題点とは?

Spherical Lens

 

レンズには様々な形状がありますが、その中でも最もポピュラーと言えるのが球面レンズです。球面レンズとは、レンズの両方の面が球面でできているレンズです。しかし球面レンズには、どうしても「収差」という問題点が発生してしまい、像のボケや歪みが発生してしまいます。
ここでは、球面レンズの種類や特徴、球面レンズの問題点についてまとめて解説いたします。

 

 

 

 

 

 

集光・発散の原理と面の種別によるレンズの分類

レンズには様々な種類があります。レンズの集光・発散の原理と面の種別で大きく分類すると、下記のように分類することができます。

①~⑤のレンズは、レンズ表面の屈折のみで集光・発散作用を持つレンズで、このうち①~④は表面が連続した滑らかな面であるのに対し、⑤はレンズ表面が不連続なゾーンに分割されているレンズです。
一方、⑥は、レンズ内部の屈折率を均質ではなく分布を持たせ、⑦は、屈折ではなく表面の回折作用を利用して光を集光・発散させます。

 

断面形状によるレンズの分類

レンズ表面の屈折のみで集光・発散作用を持ち、レンズ面が連続した滑らかな面でできているレンズには、様々な種類があります。レンズの断面形状で分類すると次の通りです。

 

このうち、①~③は凸レンズ、④~⑥は凹レンズに分類されます。凸レンズは光を集光し、凹レンズは光を発散させる作用があります。①両凸レンズは両方の面が凸面になっているレンズです。同様に、④両凹レンズは両方の面が凹面からなっています。また②平凸レンズ、⑤平凹レンズは、片側の面がそれぞれ凸面、凹面ですが、反対側の面がそれぞれ平面になっているレンズです。

メニスカスレンズとは、断面の形状が三日月形状となっているレンズのことです。片側の面が凸、反対面が凹形状になっており、一見すると凸メニスカスレンズも凹メニスカスレンズも同じような形状をしています。違いとしては、凸メニスカスレンズではレンズの中央部分が厚くなっており、凹メニスカスレンズではレンズ周辺部の方が厚くなっているという点で判別されます。 この、中央部分が厚いのか、周辺部の方が厚いのか、というのが凸レンズと凹レンズの判別基準であり、①~③は中央部分が厚く、④~⑥は周辺部が厚くなっています。

 

球面レンズの問題点

球面レンズとは、レンズの両方の面が球面でできているレンズです。球面レンズはあらゆるシーンでよく用いられます。球面レンズがポピュラーなのは、加工が比較的容易なためです。ガラスレンズでは個々のレンズ面を研磨することで滑らかな面としますが、研磨加工では球面や平面が安価で精度が確保しやすい面となります。 このように、加工が比較的容易な球面レンズですが、いくつか問題点があります。

収差が発生

球面レンズを使用していると、どうしても収差が発生してしまいます。収差とは、レンズの中央部を通る光線とレンズの端部を通る光線では、結像位置がずれてしまうということを指します。そのため、結像用途に用いると、ボケや歪みが発生してしまい、目的に合った像が得られなくなります。

何枚もの球面レンズが必要

この収差を抑えるために、結像用途では複数の球面レンズを組み合わせて使用する事で対処します。先に述べた①~⑥の断面形状を適切に選んで配置し、レンズの厚さや材料、各球面の曲率半径、といったパラメータを最適化する事で収差の発生を抑制します。

ただ、球面レンズのみの組み合わせだと、レンズの枚数が増えるため、その分スペースを取ってしまい、また重量も重くなり、さらにコストもかかってしまいます。

そこで登場するのが、非球面レンズです。

>>非球面レンズとは?特徴やメリットについて

 

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光学設計技術ナビを運営する株式会社トヨテックでは、オプトメカトロニクスの総合光学メーカーとして、お客様のニーズにあわせてゼロから設計開発を行い、製品化までを一貫サポートしております。高精度な球面レンズ加工はもちろんのこと、より高精度な非球面レンズの製造にも対応しております。さらに、レンズのみの製造にとどまらず、周辺部品もあわせたレンズユニット全体の設計から製造までワンストップで対応いたします。

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